珈琲の生豆の価格はどうやって決まる?
珈琲は世界中で大量に取引されている農産物のひとつです。
私たちが普段何気なく扱っている生豆も、実は世界的な市場の中で売買されています。
さらに珈琲は、実際に飲むためだけではなく、先物市場を通して投資やリスク管理の対象にもなっています。
では、私たちが仕入れている「生豆の価格」は、どのようにして決まっているのでしょうか。
今回はかなりざっくりと、その仕組みを紹介していきます。
生豆の価格は変動する
珈琲の生豆には、ずっと同じ値段がついているわけではありません。
その年の収穫量や天候、世界の需要など、さまざまな要因によって価格が変動しています。
そして、その価格を考えるうえで重要になるもののひとつが「先物取引」です。
先物取引とは
先物取引とは、簡単にいうと
「将来、決められた時期に、決められた価格で商品を売買する約束を、今取引する仕組み」
です。
珈琲の場合、この先物市場で取引されている価格が、生豆を売買するときのひとつの基準になります。
代表的なものでは、
アラビカ種:ニューヨーク市場
ロブスタ種:ロンドン市場
の価格が世界的な指標として使われています。
ここには珈琲を扱う生産者や輸出業者、商社、焙煎業者だけでなく、投資家なども参加しています。
なぜ価格が変わるのか
例えば、世界最大の珈琲生産国であるブラジルで、
「今年は霜が降りて収穫量が少なくなりそうだ」
となれば、
「これから珈琲が足りなくなるかもしれない」
と考える人が増えます。
すると珈琲の価格が上がることがあります。
反対に、
「今年はたくさん収穫できそうだ」
となれば、供給量が増えると予想され、価格が下がることもあります。
つまり、今実際に存在している珈琲の量だけではなく、
「これから珈琲がどのくらい採れそうか」
という予想も価格に影響しているわけです。
天候や収穫量以外にも、需要、在庫量、為替、輸送事情など、さまざまな要素によって価格は動いています。
では、生豆の値段=先物価格なのか?
ここが少しややこしいところです。
私たちが実際に購入する生豆の値段が、そのままニューヨーク市場の価格になるわけではありません。
生産国や農園、品質、品種、精製方法などによって、それぞれの珈琲に価値が加わります。
さらに、輸送費や流通にかかる費用なども加わって、最終的な生豆の価格になっていきます。
特にスペシャルティコーヒーでは、市場価格を基準としながらも、その珈琲自体の品質や希少性によって、より高い価格で取引されることがあります。
私たちが普段何気なく仕入れている生豆の価格の裏側にも、世界の天候や経済、生産者、そして市場の動きが関わっています。
先物価格=実際の仕入価格ではない
ここまで読むと、
「では、ニューヨークやロンドンで決まった価格で、そのまま生豆を買っているのか」
と思うかもしれません。
実際にはそうではありません。
先物市場で取引されている価格は、あくまで珈琲の価格を考えるうえでのひとつの基準になります。
そこから、生産された国や地域、品質、品種、精製方法、その年の収穫量などによって価格が変わっていきます。
珈琲によって価格差がある
例えば、同じアラビカ種の珈琲でも、
ブラジルの珈琲とエチオピアの珈琲では価格が違います。
さらに同じブラジルの珈琲でも、
農園や品種、精製方法、品質などによって価格は変わります。
こうした基準となる価格との差を「ディファレンシャル」と呼びます。
簡単に考えるのであれば、
珈琲の基準となる価格に、その珈琲ならではの価値が足されたり引かれたりする
というイメージです。
特にスペシャルティコーヒーの場合は、品質の高さや希少性などによって、市場価格よりも高い価格で取引されることがあります。
日本に届くまでにもお金がかかる
もちろん、生産国で決まった価格のまま日本に届くわけでもありません。
生産地から日本まで運ぶためには、
・輸送費
・保険
・倉庫費用
・通関などの費用
といったさまざまな費用がかかります。
さらに日本で珈琲を買う場合には「為替」の影響も受けます。
珈琲の国際取引ではドルが使われることが多いため、円安になると、同じ価格の生豆でも日本円に換算したときの仕入価格は高くなります。
そのため、生産地で珈琲がたくさん採れていたとしても、円安や輸送費の上昇などによって、日本での生豆価格が上がることもあります。
生豆価格は、いろいろな要素で決まる
かなり簡単にまとめると、
先物市場の価格
+ 産地や品質による価格差
+ 輸送や流通にかかる費用
+ 為替の影響
などによって、私たちが購入する生豆の価格が決まっていきます。
実際にはもっと複雑ですが、まずはこのくらいのイメージで考えると分かりやすいと思います。
珈琲の価格が上がる理由
最近、「珈琲の価格が上がっている」という話を聞くことも増えました。
その理由は単純にひとつではありません。
例えば、
生産国で干ばつや霜が発生して収穫量が減る。
世界的に珈琲を飲む人が増える。
輸送費が高くなる。
円安が進む。
こうしたさまざまな出来事が重なりながら、珈琲の価格は変動しています。
私たちが普段飲んでいる一杯の珈琲も、実は世界中のさまざまな出来事とつながっています。
スーパーに並んでいる珈琲も、喫茶店で飲む一杯も、焙煎店で販売されている生豆や焙煎豆も、その裏側ではこうした価格の動きを受けています。
珈琲の値段を見るときに、
「高くなった」
だけで終わらず、
「なぜ高くなったのだろう」
と考えてみると、一杯の珈琲の見え方も少し変わってくるかもしれません。